ニンジンスキーに捧ぐ

れっつキモヲタライフ

私は高名な破壊術師の両親のもとに双子の弟と共に生まれ、尊ぶべき二人の教えに従い生きていた。
しかしながら弟の知力は比輪を絶していたようで、かれらはその知の神の分身の教育に心血を注いだ。
・・・その熱心ぶりときたら、病膏肓に入っていたというほうがより正確なのかもしれない。


このとき私は16ばかりになっていただろうか。
しとしと降る雨の中、一人ではなれの森にある木の下でそれがやむのを待っていた。

そうだ、この直前まで私は魔界の獣であるサラマンダーを召喚していたのだが
かれが雨に濡れてしまったため魔界に帰らざるを得なくなったのだ。
愛らしい爬虫類に近いなりをしているその使者は全身に火を纏っておきながら、
このような雨の日に出てくることをたいそう好んでいた。
一体なんのために召喚されたのだか。

結局かれが魔界に帰したあとは私一人になり、とりわけすることもなかったので
ダークエルフの友人に借りた中編小説を読んでいた。
私はこの静かな時間を今も変わらず愛している。雨音は決して耳障りなものではなく
むしろ静寂に快い装飾をもたらし、私の疲弊した心を癒してくれるものだ。



「兄さん」

ふと聞き覚えのある人懐っこい声が静寂をかき消した。
顔を上げると、どういうわけか弟のエルサリオンが立っていたのだ。

「エルサリオン、どうしてお前がここに」

私は突然の出来事に喫驚し、目を見開き声を上げた。

なぜといって、かれは4,5年前に帝都大に呼ばれ入学し、遠い帝都暮らしを
しているはずであった。最初の1年目は年の瀬に一度帰郷してきたが、それ以降かれが
この地に帰ってくることはなかったのだ。
大学は短くて15年ほどで卒業する者もいれば、好んで70年や100年以上在籍する者も多い。
なのでもう今後しばらくはかれに会わぬものだと思ってた。


「いま帰ってきたんだけどさ。今日からまた実家で暮らそうと思うんだ。
 それで、兄さんに挨拶がしたくて。兄さんならここにいるはずだと思ったんだ。」
「・・・実家で暮らす・・・って、大学はどうしたんだ?帝都まで馬でどれだけかかる
 と思っているんだ。父さん母さんはそれを知ってるのか?」

弟はこの数年で随分と精悍な顔つきになっていたものの、以前と変わらぬ爛漫な、
しかしどこかいたずらっぽい笑みを浮かべ木の根元まで歩を進めてきた。

「大学はやめてないよ。僕、最近移動魔術を覚えたんだ。よく大人が時間のない時に使うあれだよ。
 僕はいつも通りに起きて支度して、この呪文を使えば一瞬のうちに帝都大前まで到着するのさ。」
「・・・どうして移動魔術なんか覚えたんだ。故郷が恋しくなったのか?それともいつも母さんに会いたくて?」
「図書館にあった呪文の術式書を借りたら、たまたま移動魔術の術式が一緒に書かれてあって覚えちゃったんだよ。
 でもこの術式はまだ難があるね。これだと目的地の一定の位置にしか行けない。さっきも着いたのは
 この森の入口付近だった。うまくいじれば目的地の建物の中の何番目の角やドア前まで行けるようになりそうだ。」
「・・・なんてやつだ」

私は呆れて大きなため息をついた。
弟は小児学級のころから、既に存在する魔術の術式の改良に興味を示し、しばしば周りが見えなくなるほど
研究熱心になるところがあった。やつが帝都大に呼ばれたのはその能力を買われてのことだ。


「となり、座ってもいい?」
「・・・好きにすれば」

私はにべもない返事をし、首をふいと別の方向に向けた。
それは、静寂を台無しにされたことへの不満もあろうが、それよりも、
物心ついた時よりあった、かれへのささやかな厭いの感情から来た態度なのであろう。

朴直な寵児は私のそばに来て、腰を下ろした。ずいぶん浅く、まるで私にもたれかかるように。

「おい、暑くなるだろう」
「ごめん。でもここより離れると濡れちゃうんだ。」
「・・・・・・」

私はまたため息をつき、読みかけの本を閉じ、遠くを眺めた。


******

私は弟が苦手だった。格外なる知力を持ち、両親の関心や愛情、世の称揚、あらゆるものをかれは手に入れていたのだ。
―いや、それだけであればまだよかった。

やつはその自分自身へのあらゆる嘆賞になんの関心も持たなかったのだ。むしろかれ自身を称える者たちを
人の成果に群がりなんの研鑽なく称賛を得ようとする思慮の浅い者として内心はひどく嫌悪していたようだ。
判じらるるべきは結果ただそれだけであるといった恬澹な考えの持ち主だった。
その称賛欲のなさが、ことさら私を苛立たせた。そのくせ研究欲というものは人一倍あった。

私は自然と、そのような弟とも、自分を気にかけぬ両親とも一緒には居たくなくて、
この森に足を運ぶようになった。そして召喚魔法を覚え、魔界言語を覚え、ここで
自分の召喚獣と会話をし、時には静かに読書する・・・その時間を愛するようになっていた。

*******


意外なことに弟は、何も喋りかけてはこなかった。
ただ私のそばに座り、何をするでもなく、じっと前を向くばかりであった。
珍しい事もあるものだと思い、私は静寂を破った。

「大学生活はどうだい。何か面白い授業や研究はあるのかい。」
「うん、授業は・・・だいたい基礎だけきいて、あとは自分で術式の構成を考えるかな。
 でも付呪と生態学の授業はとても興味深いと思ったよ。」
「へえ。新しい友人はできたのかい」
「ん~・・・・・、・・・うん・・・」

それを聞くと、弟は少し消沈した声色になった。

「・・・僕と同い年とか近い年の子が全然いないから、全然話があわないんだ。・・・だからちょっと寂しい。」
「・・・そうなのか」
 
無理もないことで、弟のような年齢の子供が帝都大で学ぶということはきわめて稀で、
必然的に数十歳、数百歳離れた学生と共に過ごさねばならなくなる。
いくら頭のつくりが良いとはいえ、まだ入学当初は11歳ばかりの幼子であったのだから、
友人と他愛なく遊んだりお喋りしたいという気持ちを抱くのは無理からぬことだった。 

「それじゃあ、寮の生活もつまらなかったのかい。」
「まあそうかもね・・・。60歳ぐらいの人と相部屋だったんだけど、いつも挨拶ぐらいしかしなかったな。
 かれは真面目で、子供の相手なんてしてられないって素振りだったよ。もっともなことだけど。
 だから寮にはほとんど寝に行くぐらいの用事でしか帰らなかった。それに僕の部屋は
 ちょっとほかの寮よりもはなれにあったしね。宿舎が足りなくて増設したばかりだったんだってさ。」

「ここに帰ってきたということは・・・じゃあその寮はもう引き払ったのかい?」
「うん、今日の朝にね。実は僕が帰ってきた理由は移動魔法を覚えたことのほかにもう一つあるんだ。」
「もうひとつ・・・?」

「うん、実は最近その相部屋の人の様子がおかしくてさ。つねに何かに怯えているような・・・
 ちょっとここ数ヶ月でさらにおかしくなりはじめてしまって、僕は安心して眠れなくなってしまったんだよ。」
「おかしく・・・?じゃあその人は元々は普通だったのかい」
「うん。一体何が原因だったんだろう。かれは毎夜うなされているようで、とにかくその部屋で
 眠るのはちょっと難しいと思って、帰ってきたんだ。」
「ふうん・・・」

その会話の後、弟はうってかわって快活な声色になり、私の目を見つめたなり満面の笑みでこう続けた。

「前から言おうと思ってたんだけどさ。」
「何を?」

「僕ねえ、兄さんとこうやって静かに話す時間が昔から大好きだったんだ。だから理由は色々あったけど
 結果的に帰ってこれてよかったと思ってる」
「!!・・・な・・・何を突拍子もないことを言いだすんだお前は・・・。冗談は寝てから言ってくれよ。」
「冗談じゃないよ!僕はこの数年間寂しかったんだ。それは親に会えないことでもかつての同級生
 と会えないことでもなかった。きっと兄さんと喋られないことが寂しかったんだと思う・・・。」
「・・・・・・」

「迷惑かもしれないけど・・・また僕のつまらない会話の相手にちょっとだけでいいから、なってほしいんだ。」
「・・・・・・」


私はまさに弟から距離をおくためにここで静かにいっときを過ごすことを習慣としていただけに、
かれの告白にはいささか度肝を抜かれた。

かつて弟が家を出ていったときに、私はひどく安堵したものだった。
もうこの秀才を意識する必要もなければ、かれの難しい会話の論駁役として付き合わされることもなくなるのだから。
・・・・・・いや。実を言わねばなるまい。
その安堵というものは、かれとの会話によって己の能力の至らなさを痛感する恐れを抱く必要がなくなるという、
ハイエルフとしてたいそう情けないものであったということを。
そして、弟がいなくなることで両親が少しでも自分に関心を示してくれるかもしれないという、
ありえもしない淡いわずかな希望を抱いたのである。
―――結果は語るまでもないものだったが。


「・・・なんで・・・?なんで僕なんかと喋っていて楽しいんだい。」
「・・・なんでだろうね。でも兄さんだけはいつも冷静に僕を見てくれている気がしてさ。」
「・・・ふうん。でも、そうはいっても僕はお前の会話をちゃんと理解できている自信はないよ。」
「兄さんは僕の論の落し穴を正確に指摘してくれてる。僕の研究はそこから煮詰めていけるんだ。」
「・・・・・・」

私はなんだか気恥ずかしくなり、弟から目を背けた。
雨ゆえにそこから立ち退くこともできず、隣にかれをもたせたまま、ふたたび場は静寂に戻った。

「雨、なかなか止まないね」
「ああ・・・。」

その後は二言三言ほど話しては途切れたので、私は雨音のなかささやかな考え事をした。

私は弟のように称賛欲のない強靭な精神を持てるわけでもなければ、かれの話に理解を示すことの
できるほどの能力があるわけでもない。
しかしながら、かりにこの片割れの言うことが曇りのないものだとすれば・・・私は少しは必要とされて
いるのだろうかと・・・・・・子供ながらに悪くはないような気分にはなったのも事実だった。


「陽がさしてきた。そろそろ止みそうかな」
「・・・・・・」
「おいエルサリオン、聞いて・・・・・・」

ふと隣に目をやると、秀才は私の左肩に頭をもたせ、静かに寝息を立てていた。
今朝、寮を引き払い授業を受け、そのまま帰ってきたというのだからくたびれてしまったのだろう。
その寝様には、秀才らしからぬ子供らしいあどけなさが残っていた。


「・・・・・・一日20分だけだぞ」

そう静かに一言し、私はふたたび雨が完全に止むのを待った。
 
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~帝都大学寮にて~

「お、おい、あの子供は確実にもう出ていったのか!?」
「ああ、確実に。うちにも別れの挨拶に来たけど・・・・・・」
「ああ!よかった!これでもう安心して暮らせるんだな!?今度はあいつでさえなければもう誰でもいいから
 まともなやつを入れてくれ!」
「・・・一体なんだって以前からきみは何をそんなに怯えているんだい。ここ1年できみはまるで人が変わったようだぞ。」
「なぜって!君たちは知らないのか!?」
「はあ?何をだい?」
「あいつは普通じゃない!頭がおかしい!!」
「ちょっと待て、そう興奮するなよ。順序立てて話をしてくれ。」

「ああ、もう、はっきり言うよ!僕はあの子供があまりにもできがいいものだから正直嫉妬してたんだよ。
 それで・・・大人げないのはわかってるさ。・・・ちょっと嫌がらせをしてやろうと思ってさ・・・」
「なにをしたんだい?」

「・・・・・・あいつのベッド横に、僕の実験でほぼ死にかけになったリーパーを無造作に置いてやったのさ・・・」
「うわ、きみはなんてことを・・・。大人げないという程度の行為じゃないよ。」
「わかってる!ああ、僕が悪いさ!でも最後まできいてくれ・・・」
「ああ、わかった。どうぞ。」

「・・・あいつがどんな顔で怖気づき泣きじゃくるだろうと、僕は夜に明かりもつけず
 あいつが帰ってくるのを部屋の隅に隠れて心待ちにしていたんだ。あいつはいつも夜間に帰ってくるからね・・・」
「それで?」

「あいつは帰ってきて・・・小さい照明の呪文を自分のそばに照らして、自分の寝台に向かった・・・
 そして、おそらくその死にかけを見つけたときのことだ・・・・・・
 あいつは、生き絶えんとするリーパーを見るなり、まるで子供とはいえないような恐ろしい形相の笑みを浮かべて、
 足早に自分の机に向かい、引き出しからナイフを取り出した・・・」
「・・・・・・続けて」

「あいつはナイフを片手に持って・・・何かもう片方の手で呪文をかざして、僕の実験台の心臓に躊躇なく突き刺したんだよ!」
「・・・それは・・・早く眠らせてあげるために?」

「そうだと思うだろう・・・・・・ところが様子が違った・・・そのナイフは何か特別な呪文の施しがあったようで・・・
 突き刺して数秒ほどしたとき、ナイフから青紫の流れるような靄があの子供の腕を伝ったんだ・・・」
「・・・・・・」

「そしてだ・・・しばらくすると・・・僕の死んだはずのリーパーの身体が激しくびくついてね・・・・・・・
 ・・・数十秒後のびくつきのあと・・・・・・・・・ああ、ありえないことに、四足で起き上がったんだよ・・・!」
「・・・・・・え・・・?お、おい。待ってくれよ、それは・・・それはまるで・・・・・・」

「やつは"生き返った"と思われる僕の実験体の額にキスをして、こう言った
 「今日から僕のペットになってくれるね」と・・・・・・

「それから部屋は日が経つにつれて、きまって夜に異臭が立ち込めはじめた・・・部屋はヒタヒタと不気味な
 足音がするし・・・・・・・・・・しかし僕はもうあいつらが何をしているかなんて知りたくもなかったから、
 あいつが帰ってくる前にベッドにもぐりこんで軽い睡眠の呪文を唱えてさっさと寝るようにしてたんだ・・・
 思えばこのとき誰かに相談なりすればよかったって思うんだけどね・・・でも元はと言えばあの瀕死体を
 置いたのは紛れもなく僕だったし、こうなってしまった以上黙りとおすしかないと思ったんだよ・・・。

「でもねえ、異臭ってのは度を超すと呪文すらきかなくなるほどになるってのは君たちも知っての通りだと思う・・・
 ある日僕はとうとう耐えかねて、あいつが帰ってきてあの死体を呼んだところで咎めてやろうと
 眠るフリをしてベッドの中で待ち伏せしてたんだよ。
 案の定あいつは定時に帰ってきて・・・死体を呼び寄せた。寝ているときよりも起きているときのほうが
 感覚が鋭敏になって、あれがどれほどとんでもない腐臭だってのがよくわかるもんなんだね・・・
「それで、あの子供は何か小声で楽しそうに話しかけていたんだ・・・耳を凝らして聴いてると


『きみはいつまでたっても元の御主人様のことが忘れられないんだね。気がすむまで挨拶に行っておいで』


「・・・・・・・・僕は一瞬心臓が止まったかと思うと、とたんにありえない速さで鼓動を打ち始めたんだ。
 ヒタヒタとおそろしいほどゆっくり不揃いな足音と苛烈な腐臭が僕に近付いてきて・・・・・・
 とうとう僕のベッド脇まで気配を感じたんだ・・・

「自分の実験体がいまどうなっているかなんてもう知りたくもなかった、見たくもなかったよ!
 でも・・・僕の好奇心が恐怖心に勝ってしまってね・・・
 僕は唾を飲み込んで恐る恐るうっすら目を開いて・・・横目でその死体を見てしまった・・・あああ、神様、どうか僕をお許しください!!!」
「お、落ち着け!もういい、わかった、わかったから!!水を飲め!」


「・・・・・・・・・すまない・・・ああ・・・」
「いいさ・・・」
「ありえないほどの恐怖を目の前にすると声すら出なくなるんだよね・・・それでそのあと気絶してしまって・・・。
 きみたちが僕をおかしいと思い始めたのはたぶんその日が境になっているはずだ・・・
 あれから毎晩うなされ眠るに眠れなくなったよ。時には友人の部屋にも泊まりに行ったが不安が消えることはなかった・・・
 朝あいつの顔を見れば無邪気な子供のような表情のままで、かえってそれが恐ろしく、もはや目も
 合わせたくなくなっていた・・・・・・」

「・・・これだけ話してもらってこう言うのもなんだが・・・・・・僕がにわかにきみの話を信じられないでいるのを許してくれ・・・」
「・・・・・・」

「・・・きみの言っていることが正確だとすれば・・・あの子がしていることは死霊術のたぐいということになるんだぞ・・・
 そんなことは簡単に信じられないんだ・・・第一われわれが死霊術を身につけるなんてほぼ不可能だ。
 ハイエルフは死霊術の術式を作らなければ文献もない。では門外不出の魔族の呪文を・・・?
 でもあんな子供が魔族の術式をそう簡単に手に入れられるとは僕には到底思えない。
 こう言ってはなんだが・・・きみは幻覚を見ていたのではないか・・・?」
「・・・・・・幻覚や夢だったらどんなにか幸せだろう・・・・・・でも僕はしかとこの目で見た、見たんだよ・・・
 僕の・・・腐り果てて眼球は左右それぞれあらぬ方向を向きえぐれ、骨や内臓が所々から見えている僕の変わり果てた実験体を・・・」

「・・・・・・きみは一度医者に診てもらったほうがいいかもしれない」
「なんだと!僕は断じて嘘をいっていない!夜・・・ああ、そうだ、きまってこの時間ぐらいに・・・・・・
 あいつはいつも、毎日あれを呼び出していた・・・!」

「ああ、わかった、わかったよ。とにかく今日のところはこれで解散しよう。
 きみもあの子供がいなくなったのだから安心してもいいはずだ。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ああ、わかったよ・・・・・・。熱くなってすまなかった・・・」

「それじゃあ、よっこらs・・・・・・・・ん?」
「どうしたんだい」
「・・・おい、この棟、あの子が出ていってから君以外にまだ誰も入ってないよな?
「・・・そうだけど・・・」

「なんだ・・・?ちょっと静かに・・・・・・・・・おい、廊下からわずかにへんな足音がする・・・
 なにか引きずっているような・・・―――」
「え・・・」

「・・・・・・・・・音が・・・近付いてくる・・・・・・ん?なんだこの臭い・・・」

「・・・・そ、そんな・・・」
「お、おい、冗談だろう・・・」

「あ、ああ、そんな・・・・・・そんなはずは・・・・・・・・!だって・・・あいつはもういないはずじゃないか・・・!」



やがて何者かの不揃いな濡れた足音はかれらの部屋の前で止まった。
・・・かと思えば、いったんの静寂の後、爪で無造作に鈍い音を立てながらドアをひっかき始めた。

嗅ぎ覚えのある腐臭を漂わせながら――――・・・。



  1. 2015/05/16(土) 15:34:46|
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