ニンジンスキーに捧ぐ

れっつキモヲタライフ

レヤウィンにて


「・・・あ、あれ?やべ、もしかして足りない・・・?」
「あと32G足りねえでっせお客さん」

「マジかよ・・・・・・・・・・あ、あのさあ、少しまけてもらえない?」
「な~~に言ってんですかお客さん、これでも超出血サービスなんですよ」


さて、いきなりやばい。

俺はつい最近、なにを思い立ったかニベネイにある生まれ育った家を
あてもなしに飛び出して、流浪の旅に出たImperialの剣士だ。
剣士って言ってもそれは名ばかりで、実際はそれまで家の木製人形相手に
剣をふりかざしていただけのド素人ひよっこなんだが・・・。
今までに倒した敵はマッドグラブとスキーヴァーだけっていう・・・・・・。
そんなド素人に、タムリエルに関する多大なる好奇心や興味が積もりに積もってしまった。

そして今、なんとか辿りついたここレヤウィンの宿で会計をしているんだが、
宿泊前に宿泊料金は支払い済みだというものの、それまでの旅の疲労ゆえに
飲み回してしまったツケで、その酒代もろもろの金額が払えずにカウンターで立ち往生
・・・というのっけから災難に出くわしているのだ。
しかも自業自得・・・。


「支払えないってんじゃ、レヤウィン兵にあんたを突き出さなきゃならんよ」
ちょっ!!!ちょっと待ってくれ、どうかそれだけは!!」

32Gなんて金、ちょっとやそっとのモンスターを倒したところでとても間に合わない。
でも今の俺は支払える能力を持ち合わせていなかった。
やばい、こんなところで初っ端から俺は前科者になっちまうのか!?

「え・・・っと、あのさ、一日・・・いや、三日だけ待ってくれないか?
 金はなんとかするから!」
「三日?あんた初めての客だろう、信用ならんよ。・・・・・・わしが思うに、
 あんたの"ソレ"を売るってんなら・・・まあチャラにしてやってもいいぞ」

そういって宿屋の主人が指をさしたのが、俺の銀でできた親父の形見のロングソードだった。

「!!!いや、これだけは勘弁してくれ!これがないと俺戦えないんだよっ!」
「それもダメかい。じゃあ今から兵士に・・・・・・」




「・・・・・・・・32でいいんだな?」
「ファッ!?」


―――振り向いたそこには、旅人風の軽装備の、俺と・・・あまり年齢が変わらないであろう
中性的な美しい金髪の男がいた。
金の入った袋を主人に差し出しながら。

「お、おう兄ちゃん、おはよう。・・・チェックアウトかい? その金は・・・・・・」
「こいつが払えなきゃ後ろに並ぶ俺はいつまで経っても鍵を返せず宿を出られないからな。
 それで足りるだろ。ああ、それからこっちは少なくてすまないがチップだ。」
「え、ちょ、な、なんだよお前・・・!?」


どうみても初対面のそのブロンド男は俺が支払うはずの32Gを、
なんと立て替えとして主人に差し出したのだ。
主人は驚いて目をしばしばぱちくりさせていたが、

「い、いや・・・まあ金さえ払ってくれりゃその金が誰のだろうとワシはかまわんのだが・・・」
「よかった。じゃあ世話になったな、またレヤウィンに滞在する際は寄らせてもらうよ」

そういってそのブロンド男はふいっとUターンして宿屋を後にしていった。





「ちょ、待てよ!!」

すたすたとレヤウィン門にむかって歩いてゆくブロンドを俺は追いかけた。

「な、なんだってんだよ一体!?なんで見ず知らずのお前が俺の代金を
 支払ってくれるなんてことを・・・・・・俺らなんか面識あったか!?」
「・・・・・・・・・・・・。」

ブロンドは立ち止まってこちらを振り返り、ゆっくりと口を開いた。

「・・・さっきも言ったが、あんたが邪魔で仕方なかっただけだ。勘違いするな」
「なっ・・・だからって・・・あんな金額をそんな気前良く・・・・・・」
「用がないなら失礼するよ」
「あ、ちょ、待てよ!」

俺は愛想のかけらもなく立ち去ろうとするブロンドを呼びとめた。
このままで終わらすのは情けなさすぎる上に、なにより男としてこの上なく恥ずかしいからだ!


「何も礼をしないってのは剣士の名が廃るんだよ!少しでいいからさ、礼をさせてくれないか?」

俺の礼の言葉に、ブロンドは少し興味をしめした。
「・・・へえ、それで、何をしてくれるって言うんだ?」
「おまえの目指している目的地まで、しばらく俺をおまえの護衛として無給で雇ってくれ!」

その言葉を聞いた途端、やつは高らかに笑いやがった。

「あっはっは!!!あんた随分面白い奴だな。結論から言ってやる。いらん。失せろ」
「ちょっ!!なんでだよ、護衛がありゃ少しはおまえの旅も安全になるだろ!?」

そのブロンドは面白おかしそうに笑いながら俺に言い捨てた。

「たかだか32Gも支払えないような剣士もどきに何が務まるっていうんだ?
 なんならこの街の戦士ギルドを紹介してやろうか?最近はブラックウッド団と
 対立していて苦しいみたいだが、まあなんとかなるだろうよ」
「俺は真面目だッッ!!!」

・・・・・・俺が叫ぶと、ブロンドは笑うのをやめた。

「・・・じゃあ言ってもいいか?あんたの装備は立派だが、俺にはあんた自身がどうみても
 最近剣士業を始めたばかりの素人にしか見えないんだよ。」
「ど、どういうことだよ!まだ戦ってもいないってのに・・・!」

「一つ指摘するなら、あんたはまず確実に重装備に慣れていない。足取りもふらついてる。
 それから会話の節々に取引の未熟さが見え隠れしている」
「そ、それは・・・。」

会話と仕草で全部見抜かれていたとか・・・。俺アホすぎる・・・。

「・・・ふん、図星か。残念ながら俺はおそらくあんたが目指しているであろう
 戦闘のスタイルとはかけ離れた戦いしかしない。
 護衛の前にまずは重装備の取り扱いから勉強するんだな。じゃあな。」
「ま、待てって!!!」


なおも俺はブロンドを呼び止めた。ここまで言われてしまうと、俺もさすがに
意地が出てしまったともいうか・・・。

「・・・なんだ
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「・・・俺、家を飛び出してから何もアテがないんだよ・・・。おまえの言うとおり
 俺はカニとネズミしか倒したことがないド素人だ。だから無給どころか護衛なんて力にも
 なれないような足手まといになるのは自覚してる・・・。」
「・・・・・・・・・・・・。」

「でも俺は本当の意味での剣士になりたいし、そして剣士としてタムリエルを旅したい。
 おまえの荷物運びでも雑用でも何でもいい。目的地まででいいから連れてってくれないか・・・?」
「・・・・・・。」

「・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」


「・・・・・・・・・・・・・なんだ、正直じゃないか。」
「!」


ブロンドはふっと笑った。

「あんたには負けたよ。俺は二カ月ほど暇をもらっているからその間ついてくるなら俺は止めない。」
「ほ、本当か!?本当にいいのか・・・!?」

「さすがに多少の荷物運びぐらいには奴に立つだろうしな。
 これから白馬を買いにアンヴィルまで徒歩で行く。大切にしていた青毛馬がご臨終でな。
 ・・・ただしあんたが途中で音を上げようが死のうが俺は気にせず旅を続ける。」
「それでかまわないよ!」

「じゃあ早速だがこれを持ってくれ」

そういって早速ブロンドは俺に荷物を渡した。薬品や錬金器具、当面使わないであろう道具の入った袋だった。
ちょっと重い・・・。

・・・ハッ、いや、そんなこと言ってる場合じゃない。俺はこのブロンドとともにアンヴィルへ旅立つのだ!


「それと、これだは守れと言っておく」
「?なんだ?」

「―――宿泊先の街で事件があった場合、絶対に首を突っ込むなということだ。」
「?なんで?」
「関係者になると厄介だろう」
「あ・・・そっか。」



そうして、ブロンド男と俺の、レヤウィン~アンヴィルまでの、短いようで長い旅が始まったのであった。



つづく?

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久々にオブリビオンでアサシンの青年の話でもやっていこうかと(震え声)
続きは時間ができ次第。
アサシンの青年が振り回されるお話になりそうです。

あでおす!

 
  1. 2013/06/16(日) 02:22:34|
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